七人の侍 メモ

最初に見たのは大学の頃だったと思います。当時は単純に凄い、と思っていましたが、改めて見てみると、当然ながら当時とは違った見方ができて面白かったです。

つまる所、野武士退治というプロジェクトを完遂するに当たって、ユーザ側の問題点の把握と意見の一本化、人材集め、人材の育成・教育(=農民の訓練)、作戦立案、本番(=決戦)、最終評価という一連のプロセスと、良く言われるキャラクタの持ち味、特に勘兵衛というリーダーとそれを取り巻く参謀達の自分の置かれた位置を如何なく発揮する姿に興味を惹かれました…と、エラそうな事を言ってますが、自分はケーブルで偶然、久蔵が斬り合いやってるシーンから見たのですけど。

この映画が当時どういう意図で3時間30分もの長編でできたのか不明ですが、長時間故に実は途中ダレてしまったりもしたのですが*01、長時間故にプロジェクトの起こりから終了までを時系列で丹念に追っていけたのだなと思いました。
それにしてもこのネタ、何故プロジェクトXその時歴史が動いたでやらないのでしょうか?
史実じゃないけどさ…

侍達が村に入った時、村の衆は物陰からひっそりと眺めており、とてもじゃないけどこのままではプロジェクトを続行するのはムリだなと思わせるのですが、菊千代*02が冗談で野武士襲来を知らせる拍子木を連打して村人を広場に集め、良くも悪くも村の衆と侍達を和解させる訳ですが、笑えんです。
ユーザ側と開発者側のミスマッチ、と言うのはこの業界では付き物ですが、事もあろうにそういう手段で打ち解けさせるのも凄いといえば凄い。ぶっちゃけありえなぁい、みたいな。
余談ですが、そういう訳で、ワタシ(= 開発者側)とmtkさん(= ユーザ側)は対極の立場に居る訳なので、実は仲が悪いです(笑。良く愚痴を聞かされて、いつも言い負かされてしまいます(笑。多分、同じシゴトしたら絶縁まで行ってしまうでしょうな(笑

勘兵衛が部下を連れて村の状況を把握するシーンがありますが、自分が理解しているかは別として、地図と実際の現場を交互に見せていますが、ここまで親切丁寧に解説する映画って他にあるだろうか? と思いました。
と言うか、どうにも自分は多くの映画で、空間の位置関係が把握しきれていないために、単にアクションシーンにのみ、目が行ってしまう映画が多いので。

勘兵衛が五郎兵衛に対して「お前ならどう攻める?」と、これには単純に唸ってしまいました。
相手の立場に立って作戦を練るというのは、戦争のイロハかもしれませんが。
また、離れている数戸は守り切れないという事で移動を命じますが、こういうのってできないんですよねぇ、現場では。何でもハイハイ、アリアリ故の何も無し最悪全くできない、というパターン、良くあるハナシだし。ここは勘兵衛が身を以って心を鬼にして村の衆を説得しますが、論理と威圧両面から相手を説得するのは、これは大変難儀な事だと思います。

一方で他の侍達は村の衆の訓練や刈り入れの手伝い、とまぁ更に友好を深めるという、アジャイルでさえも到達していない境地にまでプロジェクトが深化する様は、これは理想論として済ましてよい話なのだろうかと思ってしまいます冗談ですが。
作戦立案に当たって、村の衆の意見も参考にして、例えば刈り入れに(良く覚えていないです)7日かかる所を3日で何とかしてくれとか、友好関係あってこその話し合いですね。実際の現場だったら突っぱねてナンボのモン、だし。

野武士襲来(ファーストコンタクト編)にて、山頂からの登場シーンも印象的でしたが*03、敵の数を把握して地図に○を書き込み、倒した数毎に×で消していくという、娯楽としても面白い一方で、ボリューム算出、オレちゃんとできてるかな? と身に摘まされましたが。

勘兵衛は中央に構えて勝四郎を伝令として、ごく単純な命令を手際良く命じて行く訳ですが、この辺も見習いたい所。また、当然ながら戦いに不慣れな村の衆を、時には鼓舞したりリラックスさせたりと緩急入り交えて人心を掌握するのも見習いたい所。

当時の最新テクノロジーである種子島には最後まで有効な対処ができませんでしたね。実際、数名の侍はこれで命を落とす訳ですし、奪うという事でしか対処できなかったのが非常に残念といえば残念。でも久蔵、シブイなぁ。*04
一方で妙に人間臭くて、単なる○○屋(ex.技術屋)だけではいかんのだよ、と言ってるみたいだ。

かの有名な雨中の最終決戦は村に野武士を取り込んでの大混戦となる訳ですが、多分、野武士側としてはこの段階で引くべきだったんでしょうね、絶対あり得ない選択だとは思いますが。持久戦に持ち込めば、まず勝ち目は無さそうだし。でも他の村を襲うとかは不可能だったのだろうか? と思いますが。けどまぁ、野武士の方も意地があったでしょうからねぇ、何とも難しい選択ではありますね。

この映画、野武士側の視点が全く無かったように思えるのですが(自分が見ていない部分は知りません)、今ならばそちら側視点のSSが、わんさか出てきそうな気がしますね。

当時は感銘を受けたのですが今となっては違和感が強いセリフに、「勝ったのは百姓たちだ」があります。「そぉかぁ?」と思いましたが、ここであのシーンから想定されるのが、侍7人に対して4人が死亡、対して村の衆母数知りませんが10~20人近く死亡…大勝ではありませんが辛勝、と言った所でしょうか。ならば納得行きますが。あるいは全く別の意図があったのか。

「腕を磨く、そして戦に出て手柄を立てる、それから一国一城の主になる・・・しかしな・・そう考えているうちに・・いつの間にか、ほれ、このように髪が白くなる・・・そしてな・・そのときはもう、親もなければ、身内もない・・・」

勘兵衛。ああ…ワタシも遠い目…

侍の報酬は、「一杯の白い飯」なんですか? う~ん、自分にはちょっとムリか…今風ならば1人月10万20万、良くて30万…あり得ない…
高橋留美子の人魚シリーズに「ほどほどに儲けてほどほどに食う」だったか、そういうセリフがありましたが、儲け過ぎは良くない*05としても、喰っていけないシゴトをするというのも…

で、映画そのものですが、所々のセリフが聞き取りにくかったです。映像は、白と黒のコントラストが強く印象的。また、「昔の日本ってあんなんだったんだー」と思いました。モノクロ故のイマジネーションの喚起というやつでしょうか。

…と、大学の頃とは全く別の見方ができて、これはこれで面白かったです。
余裕資金があれば、ソフトを買いたいと思いますが。

Footnote

  1. 改めて「秋桜の空に」をやりつつ見ていたのは内緒。
  2. 最後まで彼を三船敏郎が演じているとは気が付かなかった…何せ三船敏郎と言えば物静かでダンディというイメージがあるので…
  3. 「うわ、勝てるんか?」みたいな。
  4. 個人的には7人の中で彼に一番シンパシーを抱く。
  5. 実際には間接費に大部分を取られている気がしますが。

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