「雪影-setsuei-」まとめ

山また山に山廻り、山また山に山廻りして、行方も知らずになりにけり
そもそも山姥は、生所も知らず宿もなし
唯雲水を便りにて至らぬ山の奥もなし
春は梢に咲くかと待ちし、花を尋ねて山廻り
秋はさやけき影を尋ねて、月見る方にと山廻り
冬は冴え行く時雨の雲の、雪を誘いて山廻り

山また山に山廻り、山また山に山廻りして、行方も知らずになりにけり

山また山に山廻り、山また山に山廻りして、行方も知らずになりにけり
そもそも山姥は、生所も知らず宿もなし
唯雲水を便りにて至らぬ山の奥もなし
春は梢に咲くかと待ちし、花を尋ねて山廻り
秋はさやけき影を尋ねて、月見る方にと山廻り
冬は冴え行く時雨の雲の、雪を誘いて山廻り

世阿弥山姥からの抜粋、だそうだ。

という訳で、「雪影-setsuei-」。

そろそろ蝉の鳴く季節に、雪。一面雪。銀色の世界。
で、以降、ほとばしるパトスが、かなりりイタい。キモい。無意味に長い。

発売前からロミオが関わってる事は知っていたので、どーしょーかなと。
評判芳しく無さそうだし。
けど、タイトルからして伝奇寄りなので、幾らロミオが監修レベルでのコミットとはいえ、「神樹の館」を想像した自分には、恐ろしく外す事は無いだろうと思っていたのだが、何かと忙しくてつい最近まで忘れていた。
で、思い出したようにデモをやってバットで殴られたみたいな衝撃を受けた。

ほれ、自分あんまし妹属性無いし、どちらか言うと姉系だし。
いやぁ、キャラの方向性が全然違うけど、すずねぇと、どっこいどっこいか超えましたよ、個人的には。
でなければ二台巨頭と言ったトコロ。
すずねえが太陽ならば深雪は月、みたいな。

さて、個人的には雪女と言うとたがみよしひさ、と脊髄反射してしまうのだが1 、多分、こちらがメインではなく、山窩2 がメインなんだろうなと思う。
雪女のエンド(にしか思えない)はあったが、本筋から言うと雪女にミスリードさせてるみたいな気が。
で、山窩がカニバリズムと関わってたのかどうかは知らない。
と言うか、山窩自体良く分からない。
自分の知ってるのは日本残酷物語のレベルでしかない。
そう言えばつい最近、山窩の本を立ち読みした。
多分、「幻の漂泊民・サンカ」だったと思う。
この辺を力技で無理矢理合体させようとしたのが失敗に映ったのか、それとも実質の攻略キャラが2人だったのが影響したのか、割と辛辣なレビューが多い気はする。
および、デレ無しのツンがピンポイントで受けるとしても、どうにも救い様が無かったというか。
と言うか、民俗学が絡むネタのゲームって、「水月3 以外、あんまり受けてない気がする? …と疑問型。
」はちょっと違う気がするし。

分からいでも無い。
けど、このテのハナシが好きな自分としては、まぁ何と言うか、面白かったですけど。
神樹の館とは違った意味で。
多分、いきなり、「霜神(≒雪女? or 山姥?)」、「山窩」、「カニバリズム」って言われてもねぇ。
ウンチクはテキストでフォローされてるとはいえ。
これならまだ、日本全国に散らばった12人のアニキだか弟を探して、みたいな方が感情移入しやすいのかな、という気がしなくもない。
かつて(まことしやかに)リアルだったものを現代という遡上に載せても、いや、載せてるからこそ逆にリアリティに欠けると言うか、色々な意味で共有しにくいんではないかとも思わなくもない。
そういう面では「CROSS†CHANNEL4 の時も同じ様な事を思った。
なので、カニバリズムという禁忌を破った姉さんが5 、波乱万丈の末ハッピーエンドというのも合点が行かない、と言いたいのだが、自分にとってカニバリズムというのも、60年程前にはあったらしいけど6 、余りにも遠い出来事なので、本文テキストで「今知る衝撃の事実」みたいなカンジとか、それを贖罪として後生大事に抱え込んでる姉さんには、今ひとつ実感が沸かない。
とは言うものの、すずねぇにしてもそうだけど、こういう主人公への物凄い贖罪みたいなものがあって初めて、こうも非現実的な「姉」の存在が描き出されるのかなぁと思う一人っ子の意見。

そう言えば。
姉が大丈夫だった代わりに、弟が片足を失う事になるのは7 、何に対する、とは説明できないが、オトシマエなのかもしれない。
この辺、Fateの桜エンドの時の満身創痍の主人公を思い出したし、C†Cでも太一が現実世界から離れて生きていくのも、ある種、罪を犯した以上罰を背負って生きていく、みたいな作者の良心とでも言うか、そういうモノを感じた。
どうも自分、モラルのボーダーは分かってるつもりで、モラルそのものを破るシナリオ展開には、さほど違和感や抵抗は感じないが、破る以上は最終的には何らかの罰を受けなければならない、と思ってしまう訳で。

…なんですがねぇ。

弟君(=主人公、プレイヤー)が姉を名乗る人物に徐々に手懐けられると言うか餌付けされていくプロセスは、なかなか面白かったですけど。
曲解すると、美貌を武器に、両親が死んだ弟君の心の隙間に忍び込む、実力行使でどちらが立場が上か思い知らせる、何を言われて|もされて許す、「姉ちゃん」と言わせる、ヤキモチを焼く(萌えた)・すねる(ヤヴァい)、妙にあけっぴろげ、「姉さんが一番好きだ」への誘導尋問、飴と鞭を使い分ける、等々。
その結果、弟君は「姉さんが居ない!!」とオロオロする、と徐々に凋落させて手懐けられるし、弟君の姉への疑惑・わだかまりは何ともグッドなタイミングでフォローを入れる訳ですね、添い寝して。
で、弟君も、そこはそれ、エロゲなんで、一線越えるか超えないかで悶々としてる訳だな。
しかも、弟君が姉を女性として妙に意識し過ぎるのとは対照的に、姉さんはナチュラルに誘い受けな割には、微妙なハプニングの後、何事も無かったかの様にケロっと忘れてるし。8
シナリオの大半は一線越えてバッドエンドなのが精一杯のメーカの良心みたいな。
ヘタレの化身みたいに叩かれてるけど、年に10日程度の姉の居る実家の田舎での、ぱらだいすな生活を送るために、東京の世俗にまみれた生活に耐え忍んでるのに、何かこう、ヘタレとも言えなくて。あ、シナリオによってはサルにはなるけど。
…と、ゲーム中は、ぱらだいすな10日間を過ごすために残りの1年を耐え忍ぶ主人公に同調してしまう訳だが、True Endを見ると、ねーちゃんが愛する弟との10日間を過ごすために、それ以外の日々をどれだけ苦労してるかが想像できるし、しかもそこまでしますかさせますかお父さんと、何ともまーこのおねーちゃんは業にまみれて健気で切ない訳ですよ。9
…当方、人外+着物萌え故に、個人的には姉ちゃんが人外だった方が、何かこう、嬉しかったんですが…

紫子エンド。
これ、水月エンドと同じだよ全く。
違うのは水泳やってないのと10 髪が長くなる、という点だろうか。
姉失踪から、三角関係泥沼化、姉の夢見て雪山登山遭難寸前…というあたりまでは、「あ、しまった、これは姉ゲーだったんだ」と自分が何をやっていたか忘れていた…という位に良いシナリオでした。
逆に言うと、そこまで思い入れが強い人物の引力から逃れるには、結局の所、その人物を上回る思い入れを持った人物で無いと引力圏脱出は無理なんだなぁ…要するに毒には毒を以って制す、みたいなものかと。
しかしながら、この紫子エンド、改めて読み返してみると、主人公が姉を失った消失感が良く出ていて、それでも妄信的に鬼気迫る思いで、主人公を慕う紫子の健気さと言うか一途さが出ていると思う。
そりゃ、姉とのエンドはファンタジーとしては良いのだが、このエンドの方が、ある意味現実的というか主人公の成長物語として見た場合、こちらの方も捨て難い。
ただし、姉が何者であるか、両親はどうなったか、その後の姉は今も生きているのか11 、というのは一切主人公は気付く事が無いけど。
また、姉との想いを完全に断ち切るために実家を建て替える、そのために結婚した紫子と東京で金を稼ぐ、というのも、な、何か現実的で無いようなあるような…気持ちは分からなくも無いんですが。
神社の一人娘の紫子が言うように、とっとと神主になった方が…と思ってしまう(笑。12
と言うか、そちらの問題、片付いてないし…

ところでどうでも良いのだが、姉が「綺麗になる、しゅうくんのために」と無理に風呂に入って湯あたりして倒れ13 、主人公に布団まで担ぎ込まれ、姉の裸を見てしまった主人公はその夜、ついにハァハァしてしまって、さり気に襖が閉まるSEが入る訳で。
これ、主人公がハァハァの最中の「姉さん、姉さん」という独り言を姉が気付いてしまい、何事かと入ろうとして凝固…した訳でなく、主人公が東京に戻る前日の晩は、姉弟揃って寝る(性的な意味合いは無い)のが習慣で、多分今回もそのつもりで姉は寝ている主人公の布団に忍び込もうとそっと襖を開けたら…というのが、2ちゃんのスレにあり、「おーナルホド」と思った。
これ以降、姉も主人公を一人の男、として見るようになったのかも。
ちなみに翌年以降はこのイベントは無くなった筈。
とは言え、まぁ名実共にできちゃったりしてるんですが…

で、このノベルで異色を放つ、蝉丸(女性キャラです)なんだが、確かに違和感は感じたけど、このメーカのこの手のノベルに主人公では絶対にありえなく、サブキャラでもなく、スターシステム的な通りすがり的なキャラ位置で、このスタジオの作品に継続的に出演させるつもりだったのかと思った。
…絵師が亡くなられたので何とも、だが。

確実に評判を落としてるのがCGだと思うが、絵が今風じゃないという事か。
それと、初期のシナリオ設定を夏と考えていたのか、冬なのに姉さんが半袖のワンピースとか…
個人的にはイベント画はフツーに見れるのだが。
と言うよりも、風景画はかなり出来が良いと思う。
田舎の四季も綺麗に描かれていたと思うし、一方で、油絵を基調としたような山のシーンとか。
どう考えても非現実的な姉との冬の逢瀬の、儚い、しかしながら主人公にとってはそれが生きる糧である冬のシーンに対する、他の季節の現実的なコントラストはそれ程絵心が無い自分にも分かる程度には描かれてましたよ。
であるが、立ち絵に微妙なのが多いのも事実で。
正確には(デッサンを気にしなければ)、品質にバラ付きが多い。
なんだが、慣れてしまったというか、個人的には気にならないレベル。

ちなみに、メーカスレを見て気付いたが、このシステム周り、確かに神樹と同じだ。実行ファイル名まで同じだし(w、抽出方法も(ry

BGM。
ピアノメインのミステリーっぽい曲や姉さんとの会話で流れる曲14 とテキストのマッチングがナカナカ。
エンディングロール見て思い出したのだが、音楽担当の方って、今はとある3DCG画道氏の音楽の師匠ではなかったか?

それにしても、「ゆのはな」、「Kanon」等、雪が絡むゲームは良いのが多いですね。

以上、個人手にはツボなノベルではありました。
こういうコトをやりながら、BGV替わりにオートで流しているのですが、実に落ち着くというか和むひと時であります。
冬になったら引っ張り出してやり直してるかもしれないです。15

2008/09/07 Tumblrへのアップ
2007/06/16 はてなへのアップの加筆
2007/05/13 ほぼ1周年…の加筆
2006/08/15 加筆修正
2006/05/28 初出

Menu of this post

  1. 1. 「雪影-setsuei-」まとめ
  2. 2. 山また山に山廻り、山また山に山廻りして、行方も知らずになりにけり
  3. 3. 子守唄?
  4. 4. こころの新書
  5. 5. 個人的には意外としか
  6. 6. その後
  7. 7. 更にその後

Footnotes

  1. 1. しかも、ご丁寧に冬山登山までやってるし…

  2. 2. サンカ。作中では「山の民」。そう言えば、たがみも山窩ネタはあったな…

  3. 3. 正確には雪さんか?

  4. 4. 太一・曜子の生い立ちの、個人的には突拍子の無さ。

  5. 5. しかも、遭難しかけの状態であったとはいえ、彼女が■ったのは主人公の両親。ただし彼女が生き抜くためと、父親の遺言通りの死後。

  6. 6. ひかりごけとか。

  7. 7. でも普通、耳とかからヤラれませんかね?

  8. 8. その割には、弟君が寝静まった後いやぁんそんなコト、ボク書けなぁい…みたいな。

  9. 9. この際、どうやってサバイバルしてるかは問わないのが約束ですよね?

  10. 10. 水着はある。

  11. 11. これはTrue End以外分からないが、大方の見方では、死んでしまったか、もしくは実は彼女は雪女かと。

  12. 12. 神主を世襲制と勘違いしていた…

  13. 13. 姉は設定上、湯気に湯あたりする。雪女属性を持たせるための無理矢理っぽい設定とはいえ、実は自分の母も体質的にそうらしい。

  14. 14. 特にピアノのうねり?がこれでもかこれでもかというカンジの「柔らかな時間」とか「深雪」とか。

  15. 15. 嘘です、近頃しがらんでるのでしょっちゅう…